フォワードレートとは、将来の特定の期日における為替レートのこと。スポットレートと両国間の金利差に依存して決まる。
債券等の金利でフォワードレートと呼ぶ場合、将来の一定タイミングから更に将来の一定タイミングまでの理論利回りのことを指す。この場合、正確には、インプライドフォワードレートと呼ぶ。
ノンデリバラブル・フォワード(以下NDF)はフォワードに似ていますが、現地通貨の受け渡しはなく、ネット金額のみを一定の期日にあらかじめ設定したレートを使って、米ドルまたはその他の主要な通貨によって決済するものです。
対象となる通貨は流動性が低く、価格変動リスクが大きい通貨、例えば韓国ウォン、中国元、インドルピー、ベトナムドンなどとなっています。
NDFでは金利差よりも為替の変動率が大切なポイントとなります。
例えば一年後の台湾ドルがドルに対して6分の1になっていたらとても金利差だけではカバーできません。
NDFの利点として挙げられるのは通常米ドルによって決済をするということです。
通常のフォワード取引と同様に
FXはヘッジのポジション、投資家の為替や金利の相場観によって売買することが出来ます。
具体的には配当金受け取り、資本金送金などの資本取引、輸出入に関連する為替リスクのヘッジなどが考えられます。
しかしこの取引はオフバランス取引で、差金決済であるという面からするとNDFは金利の差金決済取引であるFRAに似てると言えるでしょう。
差金決済とは?
将来取引する外国為替や金利を決めて、決済日に実際の水準との差額のみを決済する取引です。企業や投資家にとって為替や金利の変動リスク回避に役立ちます。
帳簿に載らないオフバランス取引であり、差額取引のみなのでリスクの削減に役立ちます。
しかしながら相場見通しに対する投機的な取引なので日本では刑法上賭博罪に触れるとの解釈で大蔵省が事実上禁止していたため普及が遅れました。
FRAは1994年、NDFは1998年に金融緩和政策の一環として許可され、以来、日本でも取引が本格化されつつあります。
現地通貨でのリスクヘッジがしにくいケース
*オフショアとオンショアのスポットマーケットがある。
*現地通貨に政府の許可がないなどの理由で
くりっく365がない。
*外貨の海外持ち出しに制限がある。
*金融市場そのものが発達していない。
などが考えられます。
NDFの取引を行う場合、対象となる通貨の国の現状に精通する必要があります。
一言にNDFと言ってもそれぞれの通貨で異なる点が多々あり、各国の外貨決済や外貨預金の可否や法律上の条件などの情報が不可欠だからです。
またフィクシングレートの算定日なども通貨によって違うため注意が必要です。
NDFに使われる現地通貨
決済時に使われる主要通貨
ブラジリアン・リアル、アルゼンチン・ペソなどの南米通貨、インド・ルピー、韓国ウォンや台湾ドルなどのアジア通貨、その他東欧諸国やアフリカ諸国の通貨
通常は米ドル
フォワードとの違い
*通常ドル円
CFD取引では、買って売り、売って買いのように一度に直物と先物を取引しますが、NDFでは期日が来たら直物と先物の分との差額のみ取引をします。
*決済時の差額は現地通貨を使わずあくまでも主要通貨で値決めして受け渡しを行います。
期間
2年以下で通常取引されているのは一年以下のものです。
レートの提示方法
NDFは通常のフォワードと同様にFXレートを元に算出されたビッドとオファーを提示します。
しかし提示方法は通貨によって異なり、通常はスポットレートにフォワードレートを加算した出来上がりレートが使われますが(例:韓国ウォンの一ヶ月物の出来上がりレート1196/1197)、台湾ドルと中国元についてはフォワードレートを先に決め、その上で基となるスポットレートを決めているようです。(例:台湾ドル一ヶ月物フォワードレート70/100⇒そのときのスポットレート32.992/998⇒100でヒット⇒33.098が出来上がりレート)
フォワードレートで決めるのはマーケットの慣習で特に大きな意味はないようです。
またディールが成立する前に出来上がりレート、想定元本はもちろんのこと、決済日、決済の時に使用するスクリーン(ロイター、ブリッジ・テレレートなど)、ドキュメンテーションの種類(ISDAまたはBBA.。通常はISDAが使われているようです。)、フィクシィング・デートなどが決められます。公表レートが得られない場合は当事者間で取り決めをします。
NDFの場合、ブローカレッジは期間を問わずスポットと同じ算出(100万米ドルあたりのブローカレッジ×ディールした本数)となります。
先物為替レートは約定レートに基づいてフォワード・スプレッドを加算して引き出されます。
セトルメント
満期になるとNDFのセトルメントは米ドルなどの主要通貨で定められた為替レートで決済されます。
現地通貨は決済には一切使用されません。
したがって現地通貨でいくらになるかではなく、米ドルなどの主要通貨に対してどれだけの為替変動率かあったかという計算が必要になります。
NDFに期待できるもの
NDFの発展は出来高の増加と投資の流れに直結しています。
また経済の発展途上にある国の魅力ある高金利を生かす事も出来ます。
発展途上にある国の政府にとってもNDFは経済や貿易、投資などの増加、向上を期待できるものなのです。
メイン・プレーヤー
投資家にとってNDFは二つのことが考えられます。
一つは企業の顧客が現地通貨の取引をしてその通貨のヘッジが必要となってきた時に有効な手段であること、二つめはその通貨が高金利であり投資に興味がある場合で、現地のカレンシーリスクにさらされている時、有効な手段になりえるということです。
マーケットの規模
アジアでは顧客は一日あたりの取引量が$500万から$800万のマーケットに参加することが出来ます。
これに対して他の東ヨーロッパにおけるエマージングマーケットの一日あたりの取引量は$100万ほどにすぎません。
アジアでもっとも大きなNDFのマーケットを作っているのが、韓国と台湾の通貨です。
台湾ドルは一日あたりの取引量が$150万と韓国のウォンの$250万に対して着実に伸ばしてきています。
これらの通貨の取引期間は決済日は2年以下と比較的短いものが主流となっています。
各国の短期金利を比べてみましょう。
米国の5.25%、ドイツの3%に比べて台湾の短期金利は7%、韓国は12.5%ということが考えられます。
それだけではありません。一般的には知られていませんが、ポーランドやハンガリーの金利は21.4%から24.8%であることも考えられると、あるレポートが発表しています。
1998年4月に出されたNDFにおける中華民国中央銀行の通達
中華民国中央銀行はNDF取引に対して日報の提出を義務付ける通達を銀行各行に出しました。
これは台湾地区の銀行各行と外資系金融機関に出されたもので更に米ドル500万を超えるNDF取引に関しては中央銀行に電話連絡を義務付けました。
通達に従わなかった場合は業務の全面停止など厳しい処分を下すことにしています。
NDFは外貨取引では大きな比重を持っており、出来高が増えている上に長期外国為替取引においてその比率が50%を超えたため中央銀行は管理制度の整備を検討していました。
市場の動きを把握し、取引の透明化を図るためとしていますが、外資系金融機関の中にはNDF取引の決済を海外の帳簿を使って行っている場合もあり、どこまで透明化が計られるか疑問の声が上がっています。
今後の展望
アナリストは2,3年うちにロシアがヨーロッパで最大のNDFのマーケットになるだろうとしています。なぜならセトルメントのリスクが少なくなってきたこと、NDFは現地通貨のクレジット・リスクの軽減を求めるものだからです。
アジアでは韓国やインドなどの通貨が通貨危機を乗り越える重要な手段として伸びていくと思われます。
実際の取引例
ある投資家が一年間をメドにして香港の株に手持ちの米ドルの中からUSD200万ドル分の投資をしようとしています。(円からの投資の場合は更にドル円の変動の心配もあります。)
彼は香港の株式が上昇するのを期待していますが、香港ドルの下落する事を心配しています。なぜなら彼が最終的に手に入れるのは米ドルになるからです。